こんにちは。nana_hachi(ナナハチ)です。
皆さんはシェアサイクル使っていますか?
交通網の発達した都内であっても、意外と公共交通の路線がなく、乗り換えを強いられる箇所って結構あったりしますよね。
そんなときにシェアサイクルを使えば快適な移動を格安で移動できるので重宝してます。
最近では三密が回避できるという新たなメリットも人気の一つなようです。
国内の主要なシェアサイクルといえば赤いミニベロ(タイヤの小さい自転車)のドコモバイクシェアと、シティサイクル(いわゆるママチャリ)で前かごと後輪に看板(?)を付けたHELLO CYCLINGの2大サービスが全国的にもサービスを提供してます。どちらも電動自転車なので上り坂が多いエリアでも快適に走行することができ、価格も安くチョイのりが利用できる点がメリットです。
今回は中でもHELLO CYCLINGについて紹介、考察していきたいと思います。
HELLO CYCLINGとは
HELLO CYCLINGはOpenStreet株式会社が運営するシェアサイクルサービスです。
同社はソフトバンク発の企業で、ソフトバンク、Zホールディングスのグループ会社です。
OpenStreetがアプリの運営、予約、決済などのプラットフォームを提供し、実際の自転車は参加企業が管理しているようです。自転車にもHELLO CYCLINGと書かれているものもありますが、ダイチャリと書かれているものも多くあるのはその関係と思われます。
参加企業はダイチャリ、SHONAN PEDAL などで、複数社が参加しています。ちなみにダイチャリは燃料系商社シナネンの子会社、SHONAN PEDALは江ノ電こと江ノ島電鉄が運営しています。
ドコモバイクシェアが自治体や一般社団法人などと協力して各地域ごとにサービスを提供しているのに対し、HELLO CYCLINGは民間企業と協力してサービスを提供しているという印象が強いです。
その関係か、ドコモバイクシェアは地方都市にもポートがあり、都市ごとに運用ルール、システムが異なる一方、HELLO CYCLINGは都市部地域に集中してステーションがある印象です。
基本料金は15分70円で、12時間以内は最大1000円で借りることができます。
つまり3時間30分以上借りるとその日1日は1000円で借りることができます。
しかしこれは1台の自転車を借り続けた場合のみで、例えばバッテリーが切れて他の自転車に乗り換えた場合にはまた15分70円の課金が始まります。長時間使用の際はバッテリー残量にも注目しなくてはなりません。
実際に借りてみたときの記事を後日アップします。
JRとの連携
www.watch.impress.co.jp今年5月にJR東日本との資本提携が発表され、プレスリリースによると両社のサービスプラットフォームの連携、駅ビルにサイクルステーションの整備などが検討されるようです。
現時点(2021年10月)時点ではJR東日本の駅ビル、関連施設にHELLO CYCLINGはほとんどないですが、今後増えていくことが考えられます。
JR東日本の提供するMaaSアプリ「Ringo Pass」は既にRingo Passのアカウント(JaM id)があればドコモバイクシェアの予約・利用ができるため、HELLO CYCLINGも同様のサービスが整えばRingo Passのみで2大シェアサイクルを利用できることになります。
都内でもエリアごとにサイクルポートの偏りがある両サービスなので、その時々の目的地に応じてサービスを選択できるようになれば利用者的にメリットといえます。
では鉄道会社のJRがシェアサイクルに資本提供した理由を考えます。
鉄道と自転車を使うタイミングといえば、家や職場、学校から最寄り駅まで自転車を使い、駅周辺の駐輪場に自転車を留め、電車に乗り換える。というものが一般的です。
電車に持ち込むには自転車のフレームとタイヤに分解し、専用の袋である輪行袋に入れてからでないと持ち込むことができないです。
地方私鉄の中には自転車をそのまま電車に持ち込めるサイクルトレインを行っている路線もありますが、日中・土日といった通勤通学時間以外、利用できる駅が始発終着、拠点駅に限られるなど利用には制限も多いです。
JR東日本といえば2018年より自転車をそのまま載せることができる車両B.B.BASEを運行しており、土浦駅では駅ビルに自転車関連施設を整備するなどここ数年自転車に関係したサービスの提供が進んでいます。
コロナ禍で鉄道各社の赤字が出ておりますが、それ以前から鉄道各社では鉄道+α、非鉄道事業に力を入れてきています。
国内の人口が減少し高速道路が新規開通する状況ではこれまでのように鉄道の収益を確保することが難しくなると予想されます。
+αの具体例としては京王の京王ライナーや京急のウィング号、JRのグリーン車自由席など、運賃以外に追加でお金を支払い座席に座るサービスもその一つといえます。
JR九州の「ななつ星in九州」やJR東の「四季島」はクルーズ船のように各地を巡りながら料理や景色、観光スポットを回るツアーを楽しむことが出来、京急の「みさきまぐろきっぷ」は現地までの切符、バス乗車券と現地での食事券がセットでお得に、支払いやお店探しの煩雑さを減らして楽しむことができます。
日常的に利用する人からは快適な移動を。普段利用しない人には行楽利用を促すなど、鉄道での収益確保に力を入れていかなくてはならないのだと思います。
鉄道会社がシェアサイクルに力を入れる目的として、鉄道との親和性も高く、駅や周辺にシェアサイクルと導入することで既存の公共交通ではカバーしきれないニーズや新たなニーズを拾うことができると判断したのではないかと考えられます。
公共交通としてのシェアサイクル
今年の8月までは湘南江の島地域でe-bike(電動のクロスバイク)のクロードをSHONAN PEDAL(江ノ島電鉄)と実証実験で試験提供しており、結果を踏まえて本提供するという実験を行っていました。
この度、正式にサービス提供をすることとなりましたが、これは既存のHELLO CYCLINGとは料金体系、サイクルポートも異なっており、HELLO CYCLINGのソフト面のみ共通という認識が強い。しかしながら多くのユーザーがいるHELLO CYCLINGでかつ関東屈指の観光地でもある湘南、江ノ島地域でこのサービス大きな意味があると思われます。
SHONAN PEDALが江ノ島電鉄株式会社という点も注目したいです。
コロナ禍前の話ですが、このような記事があります。
この記事で取り上げている問題点を表すとGWといった多くの観光客が押し寄せる時期には江ノ電への乗車を待つ列が駅構外まで広がってしまい、沿線住民や通勤通学で日常的に使うユーザーが普段のように乗ることができず不利益を被っているということです。
そこで江ノ電は多くの観光客と沿線住民のすみわけを行うため、沿線住民に優先乗車枠を設け、観光客とは別にすぐに乗車できるようにし、地域住民の足としての機能を維持したのです。
江ノ電の走る地域は古都鎌倉、江ノ島、そして地域の中心都市藤沢と外から人が集まりやすい地域です。それら地域をつなぐ交通網は国道467号・134号とそこを走る路線バス、そして江ノ電に限られます。
ご存知の通り江ノ電はJRや地下鉄よりも車両がやや小ぶりで、2両か4両編成で運行しています。単線であるため、駅や信号所で列車の行き違いを行い、一般道路上を走行する区間も存在するなど、一般の鉄道、地下鉄よりも大量輸送、高頻度運転が困難な印象です。
また国道は片道1車線が続き、住宅地や商業地が近いこともあり渋滞が続いている現状もあります。
既にコロナ禍以前の行楽シーズンでは既に江ノ電の輸送能力を超えており、周辺の道路も深刻な渋滞が続いているということです。
鎌倉-江ノ島(片瀬東浜)間は6.8kmあり、歩くとなると1時間30分はかかる。そんな中自転車を使えば30分程度でアクセスでき、電動アシストを使えば稲村ケ崎や腰越などアップダウンのある区間も快適に走行できる。海沿いの道を自転車で駆け抜ける、最新の電動スポーツ自転車に乗れる。という体験自体が一つの観光資源にもなります。
従来型のレンタサイクルと違い、営業時間の縛りがなく、片道のみの乗り捨てが可能、15分単位の料金設定、多数の支払方法が設定されています。電車やクルマの混雑、渋滞の影響を受けずに利用できる新たな公共交通、移動手段として期待されます。
繁忙期ならともかく、それ以外の時期でも鉄道の利用者が減少してしまうのではないか? という懸念があるかもしれません。しかしながら、どちらも江ノ島電鉄株式会社の運営であれば、収益の維持は可能といえます。また駅、路線沿線の土地にサイクルポートを設置することで江ノ電駅からのアクセスに難があった観光地、商業施設へのアクセス向上が考えられるので、地域の活性化にもプラスになります。
今後の展望
HELLO CYCLING自体、首都圏でも東葛地域、相模原、埼玉県大宮以北にはポートがなく、札幌、仙台、名古屋、広島など100万人規模の都市にもポートが存在していないことから今後の提供エリア拡大が予想されます。
ドコモバイクシェアでは1000円台で1日券を買うことができますが、ハローサイクリングでは川越や松本など一部地域に限られます。バッテリーが少なくなった際に乗り換えを行なったり、1日に短い移動を何回も繰り返すような使い方をする人には1日券があれば使い勝手が変わると思います。
バッテリーの充電ができるスポットも同様に限られており、埼玉県や都内の一部に限っていることから、この点も何らかの対策が講じられると思われます。
しかし充電にかかるシステム、電力の確保、ポートの設備と自転車の保守管理の兼ね合いが問題になるかもしれません。
ポートが雨風をしのぐことができない場所にあることも多く、自転車の品質維持も気になるポイントです。
HELLO SCOOTERというサービスの提供も始まっています。こちらはまださいたま市と都内数カ所に限られており、今後の広がりが気になるところ。
スクーターと小型EVの2種類が提供されており、規模が広まればカーシェアとの競合が見込まれます。カーシェアでは借りた場所に返却するのが一般的であり、ワンウェイ利用はできないという特徴があります。レンタカーよりも気軽に借りれるカーシェアですが、片道利用(ワンウェイ)ができない部分はレンタカーと同じ(レンタカーは追加費用でワンウェイ可能なところも多いのでむしろマイナス)であるため、シェアサイクルのワンウェイ可能という考え方を生かせるかが注目です。
今後ますますユーザー目線のサービス展開が期待できるHELLO CYCLINGに注目していきたいですね。
編集後記
この記事を作成し始めたのが9月中旬で、資料探しや文章の直しをしていたらこのタイミングでの公開となりました。
10月7日の22時に関東地方では地震があり、23区でも震災以来の震度5強の揺れを観測しました。公共交通では日暮里舎人ライナーが脱輪、JR・私鉄が一時運転見合わせを行いました。
公共交通が使えない中、シェアサイクルを使って都心部から郊外の自宅まで帰宅した方が大勢いたそうです。ドコモシェアサイクルは都心部のポートから自転車が消え、HELLO CYCLINGも通常の3倍の利用があったそうです。
災害発生直後に移動することに対しての問題もありますが、シェアサイクルの機動力の高さ、使い勝手の良さが評価されている表れなのかもしれません。